Outlook✕Copilotを検証:メール検索の上位互換&タイピング時間を削減

この記事では､Outlook上のCopilotについて

• 何ができるのか
• 実務でも使えそうか

を解説します｡

一部エラーが多発したり､精度が低い機能もありますが

• 過去のメールを含めたチャット返信
• 詳細に情報を伝えた際の下書き作成

については､活用すればするほど業務効率化に繋がるでしょう｡

*2024年11月時点の情報です｡

Outlook✕Copilotoでできること

まずは､Outlook✕Copilotで何ができるのか解説します｡ 大きく以下3つです｡

• 予定の作成
• チャット
• メール作成の支援

予定の作成

予定作成をサポートしてくれる機能です｡

例えば｢来週の月曜日12時から13時まで不在｣と指示すると､カレンダーに登録してくれます｡

*後述しますが､現状エラーが多発したり､正常に登録できなかったりして､使える状態ではありません｡

チャット

チャット形式で､Copilotとやりとりできます｡
特長としては､過去のメールを含めたやりとりができること｡
｢○○さんとの今までのやりとりの概要を教えて｣
｢○○さんは､支払いについてなんて言っていた?｣

などと質問すると､参照したメールのリンクと共に回答してくれます｡

メール作成の支援

メールの作成を､下書きとコーチングの2つの機能で支援してくれます｡

下書き

文字通り､指示した内容に基づきメールの下書きを作成する機能です｡

(｢上司への欠勤連絡｣と指示した場合)

なお､｢もう一度試す｣を押すと､再生成されます｡過去に生成した文も候補となり､選択が可能です｡

コーチング

できあがったメール本文に対して､修正の候補を出してブラッシュアップする機能です｡
以下3つの観点から､修正案を提示してくれます｡

1. トーン
2. 閲覧者の感情
3. 明瞭さ

再生成した場合､過去のコーチング内容は参照できません｡

｢すべての提案を適用する｣を選択すると､提案内容が適用されます｡

Outlook上でのCopilotの起動方法

チャットとメール作成支援､それぞれで起動方法が異なります｡

チャット機能

OutlookのヘッダーメニューのCopilotアイコンから起動します｡

メール作成支援

メール作成の支援は､タブメニューもしくは/で起動できます｡

タブから起動する場合

(メール作成画面の本文入力中に)
｢メッセージ｣タブ内のCopilotアイコンから起動

/での起動

(本文入力中､新規段落上で)半角/を入力する

Outlook✕Copilotの検証結果

ここからは､実務で使うことを想定して､検証した結果をお伝えします｡

×予定の作成:エラーが多く､実用に耐えない

予定の作成については､正直まだ実用レベルではないです｡

• エラーが多い
• エラーにならなくても予定を作成できていない

指示を変えながら10回ほど試しましたが､うち9回がエラーになりました｡

エラーにならなかった1回についても､カレンダーには追加できていませんでした｡

ただ､もし使えるようになったなら､便利なことは間違いないです｡

• ｢来週｣｢次の日曜日｣などの曖昧(相対的)な表現が使える
• カレンダーを開くことなく予定を登録できる

今後に期待しましょう｡

○チャット:検索の上位互換

チャット機能は､｢メールの検索｣の上位互換です｡

• 過去のやりとりの確認
• 目的のメールの検索

などが､検索するよりもずっと早く行えます｡

メッセージ内の数値をクリックすると､元のメール(もしくはTeamsメッセージ)に遷移できます｡

○メールの下書き:タイピング時間の削減に効果あり

• 欠席の連絡
• イベントへの案内
• 謝罪文

などの定型的な文章については､Copilotに必要な情報を伝えるだけで､ほぼそのまま送信できる下書きが作成できます｡
積極的に活用すれば､タイピングする手間と時間を削減できるでしょう｡

指示と出力結果

以下､指示内容と実際の出力結果です｡

(指示)

上司に今日体調不良で会社を休む連絡をする｡ 今日予定していたお客さんとのアポはこっちで調整する

(結果)

お疲れ様です｡(利用者の名前)です。 突然のご連絡で申し訳ありませんが、体調不良のため、本日会社を休ませていただきます｡ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございません。また、本日予定していたお客様とのアポについては、私の方で調整いたしますので、ご安心ください。何かご質問やご不明な点がございましたら、ご遠慮なくお知らせください。どうぞよろしくお願いいたします。 (利用者の名前)

(指示)

結婚式2次会の案内を同僚に送る｡ 12/10 19時から 会費制(8000円)

(結果)

こんにちは、皆さん！ 突然のご連絡失礼いたします。実は、12月10日に私たちの結婚式の2次会を開催することになりました。ぜひ皆さんにもご参加いただきたくて、このメールをお送りしています。 日時は12月10日（土曜日）の19時からです。場所の詳細については後日お知らせいたしますが、都内の素敵なレストランを予定しています。 会費はお一人様8000円となります。お食事と飲み物、そして楽しい時間をたっぷりとご用意しておりますので、ぜひご参加ください。 参加いただける方は、準備の都合上、12月1日までにご返信いただけますと幸いです。また、食物アレルギーや特別なリクエストがありましたら、併せてお知らせください。 それでは、皆さんと楽しい時間を過ごせることを楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。

情報量多めが活用のコツ

コツは､情報をなるべくたくさん伝えてあげること｡
例えば｢遅刻の連絡｣｢謝罪文｣など､文章の種類だけだと､勝手に情報を足してしまう可能性が増えます｡

以下､｢遅刻の連絡｣での作成結果です｡
｢10時頃には到着できる｣｢渋滞に巻き込まれている｣などの余計な情報が含まれています｡

(指示)

遅刻の連絡

(結果)

お疲れ様です。田中 慎也です。今朝は少し遅れてしまいますことをお知らせいたします。渋滞に巻き込まれており、到着が通常よりも遅れる見込みです。具体的には、10時頃には到着できると思いますが、進捗がわかり次第、再度ご連絡いたします。お手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

△コーチング:便利だが精度はいまひとつ

コーチングについては精度が低く､現状はおまけ程度の機能です｡

以下の本文に対して､コーチング機能を試してみました｡
下線部分が､意図的に加えた誤り･曖昧な記述です｡｢10月1日｣は金曜ではなく､｢事前に共有｣｢早めにご連絡｣は､具体的な期日がなく曖昧です｡

お疲れ様です。 来月の営業会議についてお知らせします。 1.開催日 　2024年10月1日（金） 2.時間 午前10:00から12:00まで 3.場所 本社ミーティングルーム また、今回の会議の主な議題は以下の通りです： ・10月の売上目標と進捗確認 ・新規プロジェクトの進行状況 ・次期販売計画の調整および予算 ・カスタマーサポートの改善提案に関するディスカッション なお、各部門の担当者はそれぞれの進捗状況を簡潔にまとめた資料を事前に共有してください。 万が一、出席が難しい場合や日時調整が必要な場合は、早めにご連絡ください。 以上、何卒よろしくお願いいたします。

以下､何度か試した結果です｡

項目	一回目	二回目	三回目	四回目	五回目
2024年10月1日(金)	×	×	×	×	×
まとめた資料を事前に共有	×	×	○	×	×
早めにご連絡ください	×	×	×	×	×

5回実行して1回､3つある間違いの1つを指摘しただけでした｡

ちなみに､他にも｢もっと親しみやすくするためにこうしましょう｣｢○○と追記して感謝の意を伝えます｣等の提案をしてくれます｡
参考にできそうな提案が､1回のコーチングに1件あるかないか程度の精度でした｡

(コーチング内容)

明るいトーンを維持 メールのトーンは全体的に礼儀正しく、情報が明確に伝えられています。少しだけ温かみを加えることで、さらに親しみやすくなります。 候補 ・「お疲れ様です」の代わりに、「こんにちは、皆さん」や「お元気ですか」など、もう少しフレ　　　　　　　　　ンドリーな挨拶を使用してください。 ・「以上、何卒よろしくお願いいたします」という結びの部分を「ご協力のほど、よろしくお願いいたします」に変更すると、より感謝の気持ちが伝わります。 ・感謝の意を示すために、「会議の準備にご協力いただき、ありがとうございます」という一言を追加してください。 関心を引きやすく メールの内容は明確で、必要な情報がすべて含まれています。受信者が積極的に参加したくなるような表現があると、より良いでしょう。 候補 ・「新規プロジェクトの進行状況」という部分を「エキサイティングな新規プロジェクトの進行状況」に変更すると、興味を引きやすくなります。 ・「カスタマーサポートの改善提案に関するディスカッション」という部分を「お客様満足度向上のためのディスカッション」に変更してみてください。 ・「出席が難しい場合や日時調整が必要な場合は、早めにご連絡ください」という部分を「ご都合が合わない場合は、遠慮なくお知らせください」に変更すると、より柔らかい印象になります。 簡潔さを保つ メールは全体的に明確で、必要な情報がきちんと伝えられています。いくつかのポイントをさらに強調することで、さらに効果的になります。 候補 ・「開催日2024年10月1日（金）」の部分を「開催日：2024年10月1日（金）」と、コロンを追加してください。 ・「時間午前10:00から12:00まで」を「時間：午前10:00から12:00まで」と、同様にコロンを追加してください。 ・箇条書きを使用して、議題をより分かりやすく表示してください。例えば、「1. 10月の売上目標と進捗確認 2. 新規プロジェクトの進行状況」など。

現状はおまけ程度ですが､精度が高くなれば､誤送信･誤解を防ぎ､スムーズなコミュニケーションを促す強力な機能となるでしょう｡